Japanese ceramics and artisan made housewares

den TAJIMA KISHIKO

布を染めています。
すました言い方をすれば 影を写しています。とでもいいいましょうか。

父の暗室作業を見ていたこともあり、写真科のある短大に進学を選び ほとんどの時間を暗室で過ごしました。その後、広告写真カメラマンのアシスタントの仕事につきましたが撮影よりも 写真という事象に興味があったのかもしれません。結婚出産を機に写真の仕事からは離れ 、模型や造型の仕事をする夫の側で製作の手伝い、古い建築や道具 技法など調べ物をする中で 、古来から生活の中にあった自然の染色にも出会いました。陽に当たること、水を通す毎に姿が変わっていく、変えていく柿渋の染めは、自然任せのようであり、光や温度時間にも気を配り、思うものをとらえようとする様子が、 陽の下でありながら影を映しとる暗室作業に通じるようにも思え、 季節を繰り返しているうちに十年が経ちました。
纏う、包む、敷く、掛ける、用途を探しながら大きくも小さくも姿を変える布は道具でもありながら背景になり境界にもなり 輪郭を映し出す影のようにも思います。また自然の染めであるが故の風合い色合いが重なり経ていく様と共に過ごすことは古き手仕事の一欠片。それがほんのすこし前まであたりまえであったことを気づかせてくれます。まだなにものでもない布ですが、眺めお使いいただいてその方の思う用と名がつけば嬉しく思います。